ナイフとフォークで食べるカレーパンのランチセット?! 「カレーとカレーパン 野原屋」
アイリッシュパブfield×後藤パン工房のコラボ店
2020 年 9 月にオープンした「カレーとカレーパン 野原屋」。そこは京都で最初にできたアイリッシュパブである field がランチタイムに始めた新しいお店。カレーパンを メインディッシュにパンやサラダがついたランチセットが人気です。お店を立ち上げた 経緯を店主の洲崎さんにお伺いしました。
はじまりは後藤パン工房さんとの雑談から
――カレーパンランチセットをいただきましたが品数が豊富でボリュームありますね。店名にもあるカレーパンをピックアップしてはじめようとしたきっかけは何ですか?
昔からの知り合いで自然酵母にこだわったパンを作られている後藤パン工房の後藤さんが試作品として持ってきてくれたパンの中にカレーパンがあったんです。雑談の中でうちのメニューの「そぼろカレー」をカレーパンの具材に使ったらさらに美味しいかもと話していたのがはじまりです。
――「そぼろカレー」はどういったものですか?
そぼろカレーを開発したのは、アイリッシュパブfieldの前にここで喫茶店をやっていた時ですから30年くらい前からあるメニューですね。今でいうキーマカレーですが、当時はそんな名前はなくてカルカッタ風の挽肉を使ったカレーと雑誌で紹介されていたものを見かけてメニューにしてみようとはじめました。試作を重ねながら商品化し「そぼろカレー」と名付けて、それから今に至るまで何度となくお店のメニューを見直す中でもずっと残って来た人気メニューです。特徴はキーマカレーに比べると甘めです。
――人気メニューの「そぼろカレー」を使って実際に後藤工房さんと一緒にカレーパンの商品開発に取り組まれたと。
そうですね。パンと相性が合うよう「そぼろカレー」の味付けにアレンジを加えて、試作を重ねてカレーパンが誕生しました。そのカレーパンを販売する時に、これまでのアイリッシュパブという酒場のイメージから変えようと思い、fieldのランチタイムは後藤パン工房とのコラボ店として「カレーとカレーパン 野原屋」という新しい店名で開店することにしました。
ナイフとフォークを使って食べるカレーパンランチセット
――野原屋の開店にはそういう経緯があったのですね。ではカレーパンをランチセットにした理由は?
「おじさんはカワイイものが好き」というドラマに影響されて自分もカワイイものが好きだと気づきました。それで、男である意識をかなぐり捨てて自分が好きなカワイイランチを考えました。カレーパンひとつではちょっと足りないから小ぶりのカンパーニュを付けようとか、食後にちょっと杏仁豆腐が欲しいとか。手づかみでは指が汚れるのでナイフとフォークをつけようか、とか。
――ナイフとフォークを使って食べるカレーパンのランチセットは斬新です。お客さまの反応は?
ねらいどおりと言いますか、本当におっさんがよくご注文されますね(笑)。もちろん、女性のお客様からも「かわいい!」「美味しそう!」て喜んでいただいています。でも、先日はあるおっさんが小声で「美味しそう!」とつぶやかれたのをしっかり聞きました。(笑)
ボリュームたっぷり。新商品カツカレーサンド
――2月から新商品カツカレーサンドを発売されましたね。
元々私がパンも好きだしカレーも好き。カレーは特にカツカレーが好きです。だから次はカツカレーパンを開発しようと自然に思い浮かんでいたんです。後藤さんにカツの大きさに合わせたサイズのパンや私が好きなライ麦パンをオーダーして開発しました。カレーはカレーパンと同じものを使っています。試食した時に自分自身大満足でした。ボリュームも結構ありますよ。おすすめです。
昨年20周年を迎えたアイリッシュパブfield
――アイリッシュパブfieldについてお聞きします。はじめられたきっかけは?
87 年からここで喫茶店を営んでいましたがバブル崩壊後、ビジネス街だったこの辺り も影響が大きく、お店を閉めなきゃいけないところまでいきました。閉めるくらいなら 最後に好きなことをやろうと、その頃私がはまっていたのがアイルランド音楽の演奏だったので、アイリッシュパブを考えました。そこから開店まで 色々な苦労があったのですが 、2000 年に結果的に京都初のアイリッシュパブを開店すること ができました。
――アイリッシュパブfieldは昨年で20周年ですね。ファンが多い印象です。
開店時は喫茶からの学生民族音楽サークルの常連たちが看板にペンキを塗ってくれたりしました。代々その学生サークルとは ずっとご縁が続いています。お客さまの性別や年齢層はアイルランド趣味に関わりなく本当に幅広いです。 アイルランド音楽はただ私がそれで遊んでいるだけなので、傍目に楽しそうやなとか自分もやってみようかなと思っていただければ嬉しいです。
一緒に遊べる場所を作っているという感覚
――ここの雰囲気や居心地の良さを感じて利用されているお客さまが多いように思います。
そういう風に思ってもらえていれば嬉しいです。ただ、楽しめる場を提供しているというより自分が遊ぶ場所を作っているという感覚が近いですね。例えばここの 3 階が スタジオですが、元々これは自分が楽器を練習したり、遊ぼうと思って作ったものです。カ ツカレーサンドを自分が食べたいからという理由で作ったことと同じ発想です(笑)。
――野原屋の今後の展開とアフターコロナのアイリッシュパブも楽しみです!
コロナが落ち着いた時は、以前に戻すというより field と野原屋とともに、もっと遊べる空間にしたいと思いますね!
「これまで自分が楽しいと思えることをやってきただけ」と笑顔でさらりと口にされた洲崎さん。いえいえ世の中そんな甘くないこと知っています。これまで実現したことには洲崎さんの今も衰えぬその熱い情熱があってこそ、と強く感じました。情熱が詰まった野原屋のカレーパン、まだの方は是非ご賞味ください。(文:加藤/写真:木村)
カレーとカレーパン野原屋 店主 洲崎一彦さん
1958 年生まれ。大阪府出身。1987 年に現在の地で喫茶店 field を創業。2000 年に 京都初のアイリッシュパブ にリニューアル。音楽好きで学生時代はバンドにあけくれ、後にアイルランド音楽に出会う。最近はふと自分が犬であると想定する遊びにはまり、生きるのが少し楽になった。周りからも丸くなったと言 われるが、それはたぶん歳のせいである。
カレーとカレーパン 野原屋
京都市中京区元法然寺町683烏丸錦ビル2F
TEL 075-231-1213
定休日 日曜日、月曜日
営業時間 11:30~15:00
https://kyotofield.com/noharaya.html
※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。