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誰もが気軽に入れるお店を。菜食のお店「精進カフェ和香」

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いかに野菜を美味しくいただくかを追求した店主・和香さん  

肉や魚など動物性の食材を使わない、完全菜食のセットメニューをランチタイムに提供している「精進カフェ和香」。佛光寺の東門からほど近い、可愛らしいお地蔵さんが目印のカフェです。店主の堀江和香子さんにお話を伺いました。

和香外観

日本の食事は美味しいということに気づいた 

――菜食に出会ったのはいつですか?

もう20年ほど前になるのですが、知り合いの女性が、当時京都で珍しかった完全菜食のレストランを開業したのです。そのお店を手伝うことになり菜食についてもっと知りたいと思ったのがきっかけですね。

――菜食を初めていただいたのですが、肉や魚が入っていないことに全く気づきませんでした。野菜だけなのに食べ応えがありますね。

そうおっしゃる方が大勢いらっしゃいます。当時その店の店主がベジタリアンで、肉や魚、乳製品、卵など動物性の食材をまったく使わず料理をしていました。油や出汁でさえもすべて植物性だったんです。
当初は野菜だけで本当においしいものができるのかと思っていましたが、やっているうちに、どうすれば野菜がひきたつのか、だんだんとわかるようになりました。動物性の食材を使わないと、野菜の個性が活きてくるんですよ。 

和香さん調理中

――なるほど、ひとつひとつの料理に野菜の個性を感じました。種類も多いですね。

日本には四季があって、それぞれ旬のおいしいものを食べることができます。昔から伝えられている料理に加え、様々な国の料理を取り入れて工夫し、新たなものを作り出しています。 

――和香子さん自身はベジタリアンなんですか? 

肉も魚も好きですよ(笑)。これまで学んだ料理や、母から受け継いだ味を、自分自身いかにして美味しくすることができるか、お客さまに喜んでいただけるかをいつも考えています。 
当初は野菜だけの料理で本当にお客さまが喜んでくださるのか不安でした。でも京都には外国の方が多く住んでいて、菜食の方も多いので当初から大勢の方が来てくださりました。

和香お料理

――日本の料理は美味しいですよね

実は日本だからこそ美味しいベジフードが食べられると思うのです。四季があって旬の時期に一番美味しいものを食べることができる、ベジフードを始めてから私自身が気づいたことです。出汁の取り方や料理の工夫で美味しくできると思いますよ。日本の料理は繊細だなと。いい国にいるなと思います。  

精進のお弁当が無い事に気づいたお客さんの一言  

――「精進カフェ和香」を始めたきっかけは何ですか?

知人のお店を手伝っている時、あるお客さまが「ベジタリアンの弁当ってなかなか無いんだよね」とおっしゃったことがあったんです。直接的なきっかけでは無いのですが、しばらく経ってリアカーで精進のお弁当の引き売りを始めました。  

――お弁当の販売ですか?

そうなんです。リアカーにお弁当を積んで京都府庁の近くで販売していました。  

――精進のお弁当はヘルシーなイメージですね。買いに来る方は女性が多かったですか?

それが1/3くらいは男性なんですよ。工事現場のおじさんたちも買いにきてくれたりして。「おっちゃん、肉も魚も入ってないよ」って伝えたら、「わしはこれが食べたいんや」って言われました(笑)。 

和香さん

――いいですね、性別や年齢を問わずに満足していただける。

そう言えば修学旅行生を連れたタクシーの運転手(京都の修学旅行でタクシーが学生を4人ほどを連れて1日エスコートしている)にも、「これが精進の弁当やで」と紹介してくださったことがありました。精進料理といえばお寺で食べるイメージあるから珍しかったのでしょうね。 

――観光名所になってしまったんですね(笑)。長く続けられて、すっかりファンがついてます。

それからも10年くらいお弁当の販売をしていたのですが、しばらくして古くからの友人でこちらの「おてらハウス」のオーナーである住職ご夫妻に「ランチ営業をさせて欲しい」とお願いしたのです。お二人に快くお引き受けいただいて現在に至っています。(「おてらハウス」は二階がギャラリーになっていて、展覧会やユニークなイベントが開催されています) 

和香看板

誰もが気軽立ち寄ってくれるお店に 

――これまでに印象に残ったことはありますか?

リアカーでお弁当を販売していたころ、よく買いに来てくれた男の子がいました。一人暮らしの彼は、毎日野菜をとるのは難しい、でも私が作ったお弁当を食べると一日分の野菜をとった達成感があると言ってくれたことです。  

和香内装

――それは嬉しいですね。私もそれは感じました。現在のお店でよく利用されるお客さんはどんな方ですか?

女性ひとりで来られる方が多いです。繁華街から離れた静かな場所、というものあるんでしょうね。あと、お店にいらっしゃる方は必ずしもベジタリアンという訳ではないんですよ。お客さまにおだやかな時間を過ごしていただければなと思っています。  

和香さん

――和香さんのこだわりや大切にされている思いはどんなことですか?

食べ残しによって食材が残ってしまうことにとても心が痛みます。ご注文の際にもお聞きするのですが、ご飯を少なめになど、気軽におっしゃっていただければと思います。 
またお友達同士でご来店くださる方も多いのですが、私一人でお店をしているので、3名さま以上で来られる時は事前に予約をお願いしています。

――最後になりますが、「精進カフェ和香」のおすすめメニューなど教えてください。

「大豆ミートの唐揚げ」が人気です。ぜひ食べてみてください。

和香子さんの料理を食べてみると後で気づくのですが、肉や魚を使っていないのに満足感があり、しっかり食べた気持ちになります。また料理はもちろんの事、和香子さんのお客さまひとりひとりに対する気遣いが心地よいひとときを過ごせるのだと感じました。 (文:山本/写真:木村)

精進カフェ和香堀江和香子さんプロフィール

精進カフェ和香 店主 堀江 和香子さん

1959年生まれ。兵庫県出身。友人のお店を手伝うことが完全菜食を作るきっかけに。趣味は読書。猫が好きで現在は3匹と暮らしている。

精進カフェ和香

京都市下京区新開町397-9
TEL 090-9707-6191
営業日 水曜日・木曜日・金曜日・土曜日
営業時間 11:30~15:00
http://www.oterahouse.com/cafe/index.htm

※営業日時は変更となる場合がございますので、ご来店前に確認ください。
※ランチセットは無くなり次第終了
※3名以上の場合は要予約
※五葷(ごくん-ネギ・玉ねぎ・ニラ・らっきょう・ニンニク)を除く対応はしていません。

※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。