飲む!食べる!体験する!お茶の愉しさ満喫「六角ちきりや茶舗」
変わらぬ味と香り。創業百余年、街のお茶屋さん
東洞院通りから六角通りを東に入ってすぐの場所に真新しい茶舗があります。実はそこは創業百余年の歴史ある「六角ちきりや茶舗」。四代目店主である若林大督さんにお茶の魅力やお店のこだわりをお聞きしました。
創業から味を引き継いでいることがこだわり
――早速ですが六角ちきりや茶舗のお茶の特徴はなんですか?
当店は創業百十年、初代栄二郎が好んだお茶の味を忠実に守り、お客様に提供しております。味の特徴は、ほうじ茶も番茶も緑茶も比較的あっさり、味の力はしっかりしています。
――人気のお茶を教えてください。
人気が高いのが、かりがねほうじ茶、番茶、煎茶「平安」の3品になります。一度飲んだらまた飲みたいというお声をいただきます。遠方からも買いに来られるお客さまもおられます。
――そのなかでも一押しはなんですか?
かりがねほうじ茶になります。封を開けた瞬間に一気に香りが顔の前に際立ちます。淹れたお茶の色が濃いので、がつんと香ばしいのかと思いきや飲むと意外にもまろやかな味わいでごくごく飲みやすいです。濃いほうじ茶は胸焼けしそうなイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、当店のお茶は何杯でも飲めます。あと水出しもおすすめです。3、4時間つけてもらえると飲むことができます。
――水出しで飲めるのは珍しいのですか?
通常、水出しのほうじ茶はえぐみが出てしまうはずなのですが、日頃からご贔屓いただいているお客さまに「水出しも美味しいよ」と教えていただきまして。さっそく試してみたところ、本当に美味しくて驚きました。きっと茶葉の組み合わせのバランスが、水出しにも良かったんだと思います。
38歳の時、サラリーマンから家業の道に
――四代目店主である若林大督さんの経歴を教えてください。
六角ちきりや茶舗の長男に生まれて、幼少期まではここで祖父母とともに三世代で暮らしていたのでお茶の仕事が身近にありました。大学卒業後は興味があった建築業界でサラリーマンとして働いていました。親父も「お茶の商売を続ける世の中ではなくなったから」と跡を継ぐことを勧めることはなかったです。継ぐつもりなく生きてきたのですが、結婚して子供ができて38歳のときに、ふと今後の人生を考えました。当時は仕事柄、日々帰宅が遅く家族と過ごす時間が難しい状況だったので、会社員ではなく自営業の方が自分で時間をコンロトールすることが可能ではないかと思うようになりました。それで自営業をやるのであれば家の屋号をやっぱり残したい。腹を括って家業を継いでやっていこうと思うに至りました。
――四代目店主を継いで、新たに取り組んだことはありますか?
家業に入り、2年前に代表を継いで店舗を改装しました。以前は古くからある昔ながらのお茶屋さんで、表からは店内の様子がわからないような薄暗く一見入りづらい雰囲気でした。もっと敷居を低くしてお茶を身近に感じてもらおうと、誰もが入りやすいような店構えと店内に改装しました。
――本当に明るくカジュアルな雰囲気ですよね。
若い人からお年寄りの方まで、誰でも親しんでもらえる街のお茶屋さんでありたいと思っています。
――ここではお茶の淹れ方体験もされているのですね。
茶葉で淹れた時のお茶の美味しさを体感してもらいたいと、はじめました。これもお茶を身近に感じてもらいたい考えからです。
――店頭では茶葉の量り売りもされていますね。
昨今、SDGsやサスティナブルという言葉をよく耳にしますし、環境問題について自分たちにもできることは何かと考えて、袋を持って来てもらえれば、ささやかですがゴミを出さないことに貢献できると思ってはじめました。
――お客さまの反応は?
お客さまは好きなものを多く買う方もいれば、興味がある銘柄を少しずつ何種類か試す方もおられて、嗜好にあった茶葉を自由に選んでお買い上げいただけるせいか思った以上に好評です!
スウィーツからランチセットまでメニューが豊富な甘味処
――2階に甘味処もありますね。一番のおすすめメニューは何ですか?
先代からはじめた抹茶パフェです。お椀の中にはわらび餅を敷き詰めたら、その上に抹茶ソフトクリームをたっぷりのせて、白玉・あんこ・プチトマトを飾っています。
――プチトマトですか!意外ですね。
みなさん驚かれますが抹茶ソフトクリームと一緒に食べると甘味と酸味が口の中で良いバランスなんですよ。
――本当にお茶の魅力を感じるお店ですね!他にも新たにはじめられたことはありますか?
パフェや水出しのお茶は、テイクアウトできるようにしました。最近ではランチもはじめています。ランチセットにある碾茶おにぎりは抹茶の原料である碾茶を入れています。家で作っても美味しいですよ。お茶の要素は淹れて飲むだけでなく、食べることもできます。お料理にも使えることを知ってもらうことで、もっともっと日常的に茶葉のある生活を楽しんでもらえたらと思っています!
取材中もお茶を買いに顔なじみの常連客から、ふらっと入って来られたはじめてのお客さままで店内は活況でした。好みのお茶を見つけに行くも良し、スウィーツを食べに行くも良し、甘味処でゆっくりくつろぎも良し。いろいろな楽しみ方できる街のお茶屋さんです。 (文:加藤/写真:山本)
六角ちきりや茶舗 四代目店主 若林 大督さん
1977年生まれ。大学卒業後、建築業界に就職。38歳の時に家業に入り、2018年に四代目店主として継承。中学、高校と軟式野球部。長い間やっていないので肩が回らない不安があるが野球がしたい思いを抱いている。
六角ちきりや茶舗
京都市中京区六角通東洞院東入三文字町226-2
TEL 075-221-5948
定休日 日曜日・祝日
営業時間 9:00~18:00
https://rokkaku-chikiriya.com
※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。