唐揚げ食べ放題ランチが人気 「隈本総合飲食店MAO」
和装小物メーカーの町家を改装した場所から新しい繋がりが生まれる
東洞院通付近には今もたくさんの町屋が建ち並ぶ。その一画、築約100年の京町屋をリノベーションした食と人が繋がる飲食店があります。代表の泉さんにお話を伺いました。
飲食店との出会い
――こんにちは。中に入ると奥にとても広いお店なんですね。
そうなんです、元々和装小物メーカーでした。この建物以外にもまだ奥には蔵があるので結構広く120㎡くらいですかね。当時の柱を再利用し、元あった坪庭なども景観に活かしています。
――入口からは想像もつきませんでした。泉さんはいつ頃からここで働かれているのですか?
約9年前になります。前の会社から転職してこの店が飲食店としてオープンする時から働いています。
――それまではどんなことをされていたのですか?
前職は飲食関係のWEB広告営業でした。業界のことを学び、将来飲食店を経営したいので3年で辞めると面接で伝えて入社しました。
――え!?面接でですか!?
そうなんです。何を思ったのか言っちゃいました(笑)。就職氷河期の頃だったので理解してくれた会社に今でも感謝しています。関係は変わりましたが今でもやりとりする繋がりがあり、ありがたいし心強いです。
――隈本総合飲食店MAOで働くきっかけは?
私が前職の営業の時、現会長の隈本がお客さんという形で出会ったのがきっかけです。当時和装小物メーカーだったこの場所を飲食店として改装し、スタートする計画を知りました。その繋がりから立ち上げメンバーとして声をかけてもらったんです。
――3年で実現へ向かう方向ですね。
厳密にいうと2年半くらいです。転職するには少し早いかな?と思いました。店が軌道に乗ってからでも転職はできたのですが、将来自分の店を持つことを想像した時にイメージを持っていたかったので、このタイミングを逃す手はなく、立ち上げには絶対関わりたかったんです。
――着実に思う方向へ進まれているのですね。昔から飲食がやりたかったのですか?
それが全く畑の違う建設の分野を学んでいました。入った高校が工業系でその流れで建設系の大学へ進んでいきました。ただ授業が終わればすぐに帰りアルバイトを続ける日々。
就職活動では建設系の会社にエントリーし面接に向かうのですが気が進まない状態でした。せっかくこの分野で学んだのでそういう道に行かないといけない。そんなふうに思っていたところ、母が「飲食関係はいいの?」と言ってくれました。アルバイトではあったものの、飲食で働いている時が楽しそうに見えたんだと思います。直接働く姿を見せているわけではないのですが察してくれたんだろうと。
――1番近くで想いに気づいてくれてたんですね。
はっとしました。建設係の面接ではエントリーシートに書いたことを直前に暗記するように挑んでいたのですが、前職の面接では飲食に対する自分の思っていることがスラスラ話せたんです。
――そしてその後に隈本総合飲食店MAOへと立ち上げメンバーとして働くわけですね。
本当にありがたい限りで、現会長の隈本と出会いこちらの店で働き、数年後に代表取締役にさせていただきました。
入社当時は、将来自分の店を持ちたいと考えてやってきたわけですが、この場所を使って好きなことをやらせていただいているので、ある意味自分の店だと感じていました。
時間も経ち家族が出来たりして環境が変わっていく中で、この会社を大きくしていこうという考えにシフトしていきました。
相棒としての唐揚げ
――お店をやっていく中でエピソードなどあれば聞かせてください。
そうですね、最初の話に戻るのですが外観が町屋の呉服店を活かしつつはじめたので、雰囲気があっていいのですが飲食店とは分かりにくいんです。どうやって集客すれば良いのかとても考えました。
――私がすぐに思いつくのは呼び込みとかなんですが…。
それも一つの手ですよね。ただこういった外観なだけに、派手に集客するやり方はギャップが出来てしまい相応しくないなと悩みました。店を見渡しながら今あるもので何か出来ないだろうか?フライヤーが2台あり、客席がたくさんある。また烏丸というこのあたりでランチタイムに求められているもは何だろう。
そこで思いついたのは、ランチに「唐揚げの食べ放題」でした。これなら作りながら効率も良く評判も上がれば認知してもらえるのでは、と。
――なるほど、あるものをうまく使った素晴らしい発想ですね。そして唐揚げ一個のこの大きいこと!
そうなんです。住む人、働く人、観光の人がいるこの場所に必要なもの。ランチに必要なことは圧倒的なお得感。
ただ「唐揚げの食べ放題」ではあるのですが味にもこだわっており、いくつ食べても飽きないように工夫もしています。基本的なベースは変えませんが時々少しずつ味を変えているんですよ。まさに唐揚げは私にとって相棒のようなものです。
「場」としての隈本総合飲食店
――今後はどんな風にしていこうなど展望はありますか?
まずは来てくださった皆さんがより楽しめる場所にしたいと思っています。先ほどこの会社を大きくしていこうと思うと伝えたのは、店舗を増やすという意味ではなくて、この店舗を使って何度も来たくなるように充実させたいといった、皆さんの中での存在感の大きさの意味です。
――聞くところによると、店外での活動もされているそうですね。
いろんな人との繋がりの中で、だんだんと京都の食の祭典や音楽フェスに出る機会をもらいました。音楽が好きで、個人的に昔から好きな京都のバンドもいて、好きな音楽と食と人がこの場所で繋がっていて。飲食業って人と人との場の真ん中にあって、繋げていく面白い存在であると思うんです。
今後はここで働くスタッフが飲食を通して「やりたい」と思ったことをやれる環境を提供していけたら素敵だなと考えています。
泉さんが飲食店をはじめる根本的な部分は幼い時から作る・食べるが好きで、喜んでもらえた体験にやりがいを感じていたからだそうです。
大人になって、喜びを感じることは自分と関わる人と人が繋がっていくことと話してくださいました。
ランチの唐揚げ食べ放題の他に、自社で作られているクラフトビールも要チェックです!(文:山本/写真:上山)
隈本株式会社 代表取締役 泉純平さん
1989 年京都生まれ 33 歳。部活ではサッカーをやっていた。音楽と外食でリフレッシュ。
カラアゲニストとして自身のインスタグラムでもその魅力を発信中。インスタグラムはこちら https://www.instagram.com/junpei_izumi/
隈本総合飲食店MAO
京都府京都市中京区元竹田町644
TEL 075-746-4721
定休日 不定休
営業時間
月〜木曜日 ランチ 11:00~15:00(14:30L.o) ディナー18:00~22:00(21:30L.o)
金・土曜日 ランチ 11:00~15:00(14:30L.o) ディナー18:00~23:00(22:30L.o)
日曜日 ランチ 11:00~16:00(15:30L.o)
https://mao-restaurant.business.site/
※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。