ミシュランも認めた、辛さがくせになる奥深いキーマカレー 「スパイスチャンバー 」
美味しいものを共有できると嬉しい
室町通綾小路下ル。「カレー」とだけ書かれた看板の方からスパイスのいい匂いがしてきます。昼も夜もお店の前に並ぶ人が絶えない京都屈指のカレーの人気店、スパイスチャンバーさんにお伺いしました。
音楽業界からカレー屋に転身
――さっそくですがカレー屋さんを始めたきっかけを教えてください。
きっかけですか?うーん。大学生時代、東京の神保町というカレーの聖地近くに通ってたのですが家で食べるカレーの方が好きってくらい、そこまでカレーに興味がなかたったんです。
その後就職をして、25歳の頃に関西へ転勤した際、オフィスの近くにみんながよく行くカレー屋があったんですね。味も雰囲気もよくて、そのカレー屋さんに通うようになったんです。それから、カレー屋さんをいろいろ巡るようになって。
それで、自分の好きなカレーを作って、出して、お客さんに喜んでもらう。それがすごい良いな、と思いカレー屋をやりたいと思うようになりました。
――カレー屋を目指すきっかけのお店があったんですね!ちなみにカレー屋さんの前のお仕事はなんでしたか?
前に勤めていたのは音楽関係の会社だったのですが、早期退社を募ってたのもありこれを機に、前から考えていたカレー屋やるか。というタイミング的なところもありましたね。1年でお店を開こうと思っていたので、食べ歩いたり開業前の準備期間に充てたり、飲食店で働いたりしていました。ワインを扱ってるとこだったのでワインを注ぐのが上手くなりましたね(笑)。
――元々料理は得意だったのですか?
いえ、料理は全くできませんでした(笑)。あ、ちなみに今もカレー以外の料理はできませんが(笑)。
――ええ?!そうなんですね。あとスパイスが沢山ありますが、開業前に勉強なさったんですか?
自分が美味しいと感じるものはみんなも美味しく感じてもらえるんじゃないかと思うので、そういうカレーを作れる様に勉強というか試作を重ねました。
――週に何度も食べたくなるのですが、おいしさの秘密は何でしょうか?
一つ一つの行程を丁寧にやることだと思います。例えば玉ねぎでも食感が出る大ぶりな切り方と、味に馴染む細かい切り方に分けていたりしているんです。食材を炒めるときも、今までの経験から来る感覚でそれぞれの食材の「ここ」っていうタイミングまで炒めています。
――玉ねぎの切り方は2種類あったんですね!炒め終わるポイントもシビアそうですね。ではスパイスはどうですか?
基本的には、市販で売ってるスパイスを使っていますね。海外でしか売っていないとかは、まさにコロナ禍のような状況では手に入らないので、普段から手に入るものを使用しています。全部で17種類つかっているのですが、もしかしたら少量しか使っていないスパイスもあるので、15種、16種になっても気づかない方もいるかもしれません(笑)。でも、私は現状の17種類にこだわってお出ししていますね。
――ちなみに開店当時より味の変化というのはあるのでしょうか?
毎日作っていたら、こっちの方が美味しいなとか、徐々にですが進化しています。
味の変化、食材の引き出し方、など細かな部分にもこだわれる様になってきたと思います。
――カレーの彩りもキレイで食欲がそそられますね!でもなぜ梅干しが乗っているのですか?
梅干しは何かトッピングがないか考えていたときに、幕の内弁当に載っている日の丸ごはんの梅干しはどうだろう?と思い、最後にカレーに載せて見たら、あれ?意外に合うなと思ったのと、ダルマって最後に「目」を書き込むじゃ無いですか?あれと同じで、完成!って感じもあります。どのタイミングで食べたら良いかわからないとおっしゃるお客さんも多いですが(笑)、他のピクルス同様に好きなタイミングで食べて欲しいですね。
――ミシュランに掲載されましたが、率直なお気持ちは?
自分が美味しいと思っているものを提供しているので、それを皆さんにも美味しいと思ってもらえて、それが評価に繋がるということは嬉しいです。
たい焼き屋さんとコラボ?!
――ちなみにカレー屋さんをやってなかったら何をしてましたか?
たぶんそのままレコード会社で働いていましたね。洋邦問わず音楽好きなので。学生の頃はバンドブームでしたし。ガンズとかYMO、マイケルジャクソン、BUCK-TICKなどのポスターも店に飾っています。
――お店にたくさんのCDがありますもんね。他に趣味はありますか?
最近の休日は自然に触れられる場所に行くことが多いです。田舎の川原で肉を焼いて、食後にお湯を沸かしてコーヒー淹れたり。とてもリフレッシュできます。
――遠くからのお客様、観光客の方とか多いですか?
カレー好きな観光客の方にもたくさん来ていただいてます。数少ない貴重な食事の機会をうちに使っていただけるのはとてもありがたいです。
――そういえばこのあまいろさんとのコラボも気になってるのですが
コロナ禍の街を盛り上げようと、イベントを町内の方が企画してくださったんですね。それがお客さんに好評で、他のお店の方とも切磋琢磨しているうちに、共通の知人と飲みに行く機会ができたんです。その席で知人が「たい焼きにカレーいれてみては?」という話になり、それ良いね面白そう!って感じでコラボさせてもらいました。
――たい焼きにカレーですか?!
はい、金曜日限定なんですが、生地もカレーに合うように開発してもらって。チーズ入りも追って販売する予定です。記事が出る頃には、もう発売されてると思います!とても合うので一度お召し上がりください。
――もしかして阿蘇さんって九州出身でしょうか?
名前は阿蘇ですが、山形出身なんですよ(笑)。あまいろさんが九州の天草のものを発信してますが、九州繋がりではなくて、本当に町内のイベントで打ち解けまして(笑)。
――今後のお店の展望などはどうでしょうか?
遠方だったり、時間が合わないなどの理由でなかなかお店に来られない方にも食べて欲しいと思い、通販を始める予定です。そのままでももちろん良いのですが、自分の好きな食材を合わせたりして色々とアレンジしてみるのも楽しいと思います。是非みなさんに楽しんで食べていただけたらと思います。
スパイスチャンバー さんの記事を執筆中、何度も食べたくなりつらかったです。画像を見ては、よだれが溢れ、「あー辛いけど、、食べたいなあ」と幾度も思いました(笑)。実際、二度ほど執筆中にお店にお伺いしました。辛っ〜となり、汗いっぱいで食べているのですが、本当に手が止まらないんです(汗)。この料理を熱く美味しいうちに何としても食べたい!と思い、自然とかきこんでしまいます。食べ終わった後、辛かったな…と思うのですが、2〜3日してまた、辛さを欲している自分がいます(笑)。店長の阿蘇さんは気さくになんでも話してくださり、気づいたらいつもの倍の時間取材していました。カレーの辛さとは対照的に、とてもマイルドで優しい人柄がにじみ出ていました。 (文:奥谷/写真:木村)
スパイスチャンバー 店主 阿蘇 慎太郎さん
山形県出身 転勤先の大阪でランチで通っていたカレー屋さんがきっかけでカレー好きになり、独学でカレー作りに励む。その後2010年にスパイスチャンバーを開店。行列が絶えないお店はミシュランガイドに載るほどに。
スパイスチャンバー
京都市下京区 室町綾小路下る白楽天町502番地 福井ビル1F
TEL 075-342-3813
定休日 日曜日・月曜日
営業時間 ランチ 11:30~15:00 [火~土] /ディナー 18:00~21:00 [火・水・木・金]
※臨時休業あり。HP掲載の営業カレンダーか店舗にてご確認ください。
https://spicechamber.com/
※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。