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お酒との出会いの場になりたい、国産酒専門店「酒庫フジモト」

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国産のクラフトビールをはじめ、日本酒にワイン。多彩な国産酒がリーズナブルなアテとともに楽しめる立ち飲み屋が、烏丸仏光寺を東進してすぐのビルにあります。店名は「酒庫フジモト」。お酒が大好きだという店主の藤元真司さんにお話をうかがうと、国産酒にこだわった理由やお酒への熱い想いが伝わってきました。

「国産酒専門店」に込めたお酒への熱い想い

――今日はよろしくお願いします。さっそくですが、お店のコンセプトなどを教えていただけますか?

立ち飲みスタイルで気軽に国産酒が楽しめる専門店です。あとはお酒に合うアテ小皿を提供しています。いろんな種類を食べてもらいたいので量は少なめで、一皿400〜500円くらいのリーズナブルな価格を意識しています。オープンは2023年4月15日で、ちょうど一年半くらい経ちました。

お酒にぴったりの「牛スジコロッケの温かいポテトサラダ」500円

――入口すぐに冷蔵庫があるんですね。あまり見かけないパッケージのお酒もたくさんあって、眺めているだけで楽しいです。これらはすべて国産酒なんですか?

クラフトビールからワイン、日本酒、焼酎、ウイスキー、リキュールなどすべて国産のものを取り扱っています。好きなお酒や気になったお酒を酒屋さんから買い付けたり、時には「ジャケ買い」したりして、仕入れています。

パッケージも可愛い国産ビール

――「国産酒専門店」って珍しいですよね。もともと国産酒がお好きだったんでしょうか?

「国産酒」が特別好きというわけではないんですが、お酒は大好きです(笑)。国産酒に着目した理由ですが、お店をオープンさせるときに「専門性は持たせたくないけど、ある程度は持たせたい」と考えていました。「日本酒専門店」「クラフトビール専門店」などジャンルを狭めてしまうと、日本酒やビールが飲めない人はなかなか楽しめないじゃないですか。でも、「国産酒」とくくることで、専門性もありつつ幅広く取り扱える。

――なるほど、それで「専門店」に。藤元さんのお酒への想いが伝わってくる理由ですね。

「酒庫フジモト」がお酒の入口になれば良いなと思っているんです。いろんな種類のお酒があるので、自分の好みを見つけてもらえる。「お酒の発信地」みたいな存在になりたくて。

僕自身お酒が大好きだし、居酒屋巡りも趣味なんです。休みの日は何軒もハシゴしますし、新店が出来たらすぐに飲みに行く。自分が気に入ったお店をお客さんにも紹介したいと思っています。この店を足がかりに、次に繋げてもらいたいと考えています。

店内はカウンター席のみの立ち飲みスタイル。
手書きのメニュー表。気になるメニューがずらり。

二十代で描いた人生プラン、四十代での独立を実現

――では、藤元さんのことをお聞きしたいのですが、以前から居酒屋を開くのが夢だったんですか?

実は僕、最初はパティシエになりたくて、調理師と製菓衛生師の学校に通っていたんです。

――パティシエですか?それはかなり方向転換されましたね。居酒屋をやりたいと思うようになったきっかけがあったんですか?

学生時代にバーでバイトしたことがきっかけです。調理学校に通っていたときに知り合いに紹介してもらいました。そのときに経験したバーの営業が楽しくて、「お菓子も良いけど、接客業のほうが向いているんじゃないか」って。そこから、将来接客業に就くことを決意しました。

――運命の出会いですね。では卒業後に飲食店で修行を積まれたんですか?

さまざまなお店で働かせてもらいました。将来的に自分のお店を持ちたいという目標があったので、二十代前半のときに人生プランを立てたんです。二十代は一年ごとに職を変えて、いろんな経験を積もうと。だから、アパレルでも働きましたし、カフェやバー、レストランなどいろんな仕事をしました。若い二十代のうちならそれができると思って。

――すごい、最初から人生プランを立てて臨まれていたんですね。では、三十代は?

三十代は大きな会社で5年ずつ働こうと思っていました。それから四十代で独立しようと。二十代の頃はちょうどカフェブームだったので、カフェバーをやりたいと思いながら小売業も勉強しました。いろんな経験を積んでいるうちに、人生の目標も変化していき、いまのお店のスタイルになりました。

――かなり堅実ですね。それに、人生プラン通り独立まで達成されてすごいです。

そうは言っても、プラン通りには進まなかったんです(笑)。

――そうなんですか?(笑) 差し支えなければ、どんなお店で働いたか教えていただけますか?

イカリヤ食堂さんや益やさん、宗やさんですね。イカリヤ食堂さんがオープンしたのは僕が三十代の頃だったんですが、「すごいお店だ!」と感動して。すぐに面接を受けさせてもらい、半年後に入社しました。

――行動力がすごいです。そこでは五年働かれたんですか?

プランでは五年で退社する予定だったし、入社の際に独立の夢も伝えていたんですが、グループのマネージメントの仕事にも携わるようになって、結局八年お世話になったんです(笑)。

その頃のイカリヤ食堂さんは一年ごとに新しいお店をオープンされていたので、サービスマネージメントとして各系列店を回り、営業の仕方やサービスの仕方を教えたほか、スタッフが足りていない店舗のサポートをしたり、スタッフ間のマネージメントを行ったりしていました。

自分が立てた人生プランもあるし、そろそろ違う仕事もしたいということで退職させてもらい、そのタイミングで益や酒店さんのオーナーに出会いました。益や酒店さんは当時、2号店の出店に向けて準備を進められていて、そのサポートをするために転職しました。

――すごい出会いですね。益や酒店さんでもマネージメントを行っていたんですか?

2号店の店長をやったほか、サービス指導を担当していたんですが、コロナ禍に陥ってしまい…。なかなか営業が出来ず歯がゆい思いを抱えながらも、そろそろ独立目標の四十歳になるし…ということで悩んでいたところに、た宗やさんのオーナーと仲良くなったんです。

――そんな偶然があるんですか?(笑) 人の縁に恵まれているというか、引き寄せる運がすごいですね。

本当に偶然でした。宗やさんはコロナ時でも営業されていて、「うちで働いてみいひん?」と誘ってくださったんです。宗やさんでは二年半ほどお世話になりまして、そこでようやく初めて調理を担当することになりました。さまざまなお店で経験を積ませていただき、人生プラン通り、四十代で独立しました。

調理をする藤元さん

飲み屋同士をつなぎたい

――お話を聞いていると、お酒好きってことはもちろんなんですが、「お酒を飲む空間が好き」ということが伝わってきます。先程もお聞きしましたが、ハシゴ酒もお好きなんですよね。

好きですね。もう、飲み歩きが趣味です。友達と飲むときはだいたい一日に四〜五軒。一人で飲むときは二十〜三十軒ほど回りますね。

――二十〜三十軒!? 一日でそんなに回れるものなんですか。

馴染みのお店に顔を出したり、一杯だけ飲んだりして、一時間に四〜五軒のペースで回ります。飲み歩きは趣味でもあるんですが、飲み屋同士をつなぎたいっていう思いもあるんです。お店をしていると、「二軒目で行けそうなお店ないですか?」「今度デートで使えそうな店教えて」ってお客さんから聞かれることがあるんです。そういうときに、自分が足を運んだことのあるお店を紹介しています。

――たくさん回られている藤元さんだからこそ説得力がありますよね。お酒への思いはもちろん、地域の飲食店を盛り上げたいという思いも伝わってきます。では最後に、今後の目標と五十代のプランを教えていただけますか?

目標としては、四十代のうちにもう一店舗出したいですね。五十代では、後進の育成に携わりたいです。お店に立つのが好きなので現場主義ではあるんですが、後輩を育てるのも好きなので。

お店は奥まったビルの一階。外に置かれた看板が目印

事務所からほど近い酒庫フジモトさん。いつも多くのお客さんで賑わっていて、私も何度か飲みに行ったことがあります。でもまさか、藤元さんがこんな凄い経歴の方だったとは…!きちんと目標を立て、着実に堅実に夢を実現されている姿に感動いたしました。また近々飲みにいきます!(文:西井/写真:山本)

酒庫フジモト 店主 藤元真司さん

1980年生まれ、滋賀県大津市出身。趣味は飲み歩き。京都だけでなく大阪へ繰り出すことも。一番好きなお酒は、麒麟の氷結無糖です。

酒庫フジモト

京都市下京区上柳町334 集栄堂ビル 1F
TEL 075-366-4848
定休日 日曜定+不定休(Instagramでお知らせ)
営業時間 18時〜2時

※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。