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kaonn-日音衣-

オリジナル着物で和洋を融合したスタイリング「kaonn-日音衣-」

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普段から正装の席まで。着物をもっと楽しめるセレクトショップ  

賑やかな東洞院錦を少し上がって右手に、ブティックのような看板。階段をのぼり2階のドアを開けるとシャンデリアの照明が印象的なおしゃれな空間に、にこやかな和装の女性が接客されているという意外さ。どのような思いから生まれたショップなのかお話を伺いました。

kaonn-日音衣- 外観

呉服屋のイメージを覆す?店内の隅々にこだわりのインテリア   

――店名は『カオン』って読むんですね。吉岡さんのお名前である『香里(かおり)』さんにちなんで店名にされたのですか?

『kaonn-日音衣-』で一つの店名なんですよ。お気づきの通り私の名前にちなんでいるのですが、名前をそのまま使うのはちょっと…と思ったので、少しアレンジして 『kaonn』にしようと考えました。アルファベットのみだと着物を扱う店に感じられなかったので『日音衣』という漢字をプラスしました。ちなみに「日」には日々自然に着こなす、「音」には音が流れるように、「衣」には華やかな衣、つまり着物であるという意味を込めています。読み方は当て字になってしまいますが、それらをつけることで、店名から和の印象、さらにエレガントさや日常にラグジュアリーを取り入れるイメージをしていただけたらと思っています。      

――照明や装飾など、どこを見てもおしゃれです。これは吉岡さんのご趣味ですか?

私がベトナムなど、ヨーロッパの影響を受けたアジアのデザインが特に好きなんです。最近はコロナ禍もあって難しいのですが、ベトナムなどに買い付けに行くこともあるんですよ。その時に出会った手で絵付けされた壺は、店に飾りたくて自ら担いで帰ってきました(笑)。
実はロゴにもヨーロピアンテイストの柄を採用しています。これ、ダマスク柄といって草花モチーフを左右対象でデザインされたものです。ロゴのものはオリジナルの柄なんですよ。ちなみにうちの着物はこの柄をベースにしたものが多いですね。 
店を始めるにあたって、自分が好きだなーと感じる店にしたかったので、外観も内装もヨーロピアンテイストにしました。ただ壁紙は柄物でなく、シンプルに白と黒で統一しています。店全体がインテリアというよりもアートのイメージ。壁紙はいうなればスケッチブックなんです。店のメインはあくまで着物。柄物が多いので、それを引き立たせるためにシンプルにしています。

kaonn-日音衣- 内装のシャンデリア
kaonn-日音衣- 内装の花瓶

重視していることはお客様や職人のみなさんとのコミュニケーション

――店内に飾られている着物はどれもモダンでとても印象的ですが、吉岡さんのイチオシは? 

店内の商品は私がセレクトし仕入れているものもあるのですが、それ以外は基本的にオリジナル商品なんです。イチオシは、オリジナル商品でしょうか。その中でもマーブル柄のお着物をおすすめしています。マーブルって自然にできる柄ですが、着物は仕立てた時の柄の配置がとても大事なので、思わぬところに柄が出たりしないように、理想の位置に柄が出るようにデザインしています。フルオーダーの場合は色味を変えたり柄を減らしたり生地の地模様を変えたりと、お客様のご要望にできるだけお応えしています。  

kaonn-日音衣- マーブル柄の着物
吉岡さんイチオシ!マーブル柄の着物

――そんな細かい注文にも対応されるんですね。

そうですね。より綺麗に着ていただきたいので、希望を伺ったりと、お客様との対話はとても大切にしています。 
お客様と相談しながら色柄からお見立てしていくところは着物ならでは。従来の呉服屋さんで着物を誂えるのと一緒ですね。そういう従来の良さも取り入れています。京都で店を構えていることは、細かくご要望にお応えできる点でもすごくラッキーだったなと思うんです。職人さんとの距離感が近いので、直接お話しできますしね。オープンして11年、今では相談できる作家さんとか職人さんとか、向き合っていただける方々といろいろ繋がりが増えました。時にはめんどくさいって思われるようなことをお願いすることもあります。職人さんや作家さんの方から、いろいろアドバイスをいただけたり。そういうことがほんとにありがたくて。もちろん無理なことは無理とはっきり言われてしまうこともありますね。顔の見えない職人さんでなく、しっかり対話できる方にお願いしています。 

kaonn-日音衣- 商品の着物
店内には今のエッセンスをプラスした着物が揃う

小物も着物も和装知識も何でも相談できる場所に  

――小物類は和装でない時や普段使いができそうですね!

アクセサリーだけでなく小物類は、和洋どちらにもマッチするものをテーマに製作しています。アクセサリーはもともと洋のデザインをされている作家さんなのですが、フィーリングが合うというか。いつもうちの着物にぴったりに仕上げてくださいます。 
一般的に、和装の時はアクセサリーはしないイメージが過去にはあったと思うのですが、最近ではカジュアルなお席や街歩きなど、場面によってお使いの方が多いです。私も和洋どちらの場合でもつけていることが多いですね。来店のお客様でも和洋気にせず購入されたりもします。うちの店はお洋服にも合わせられる小物も多数揃えているので、呉服屋だからと気負わず気軽に来ていただきたいですね。   

kaonn-日音衣- 羽織紐
天然石を使用したオシャレな羽織紐

――吉岡さんはプライベートでもお着物で過ごされているんですか?

もちろん!例えばちょっとした集まりで食事に行くとか、夏になったら浴衣でビアガーデンに行くとか。他には大人になってくると、正装のお席に呼ばれることもあると思うのですが、そういう時は断然着物の方が楽なんですよね。何より結婚式で着物を着ていくとすごく喜んでもらえますよね。ほんと1着持っていれば、ずっと着ていただけるし。その都度、洋服を買うより便利で経済的だと感じています。   

kaonn-日音衣- 吉岡さん

――着物…いいですよね。憧れます。

ぜひチャレンジしてください!私はいつも「一生この着物着ましょう!」ってつもりで提案しているんですよ。元々着物って三代にわたって着られるといわれています。小物や帯を変え印象を変えることで、年齢を重ねても着ていただけますよ。
正直着物って安価なものではないですよね。ご自身の得た情報で判断し購入するのもいいのですが、私どもといろいろ対話し、コミュニケーションをとらせていただいた上で商品を直接見て購入していただくと、納得のお買い物になると思うんですよね。その購入時や相談時は、お客様のライフスタイルやどういう時に着たいかをしっかり伺います。しつこいぐらい(笑)。あとはお持ちのお着物や小物などのことも聞きたいです。買っていただくなら一生ものにしていただきたいですし。持っていた方がバリエーション豊かになると思うものをご提案したりもできます。コーディネートやスタイリングもお気軽にご相談くださいね。
着物ってハードルが高いと思われがちですが、新しいファッションとして試してみたいとか違う自分を表現したいと思った時に、選択肢の一つとして考えていただけたらいいと思っています。なんとなく良さそう、ふらっとお店に来てみた、みたいなことが私の理想ですね。    

kaonn-日音衣- 吉岡さん

――最後に今後の展望や目標があれば教えてください。  

よく2号店は?とか東京進出は?など、言っていただけるのですが、今のところ全く考えていなくて。店を拡大したいというよりはむしろこの店の空間を今以上に良くしたいんですよ。もっとクオリティーを高めていきたいです。京都のこの店を全国の皆さんが知ってくださって、京都へ観光などで来られた時には是非立ち寄りたいと思っていただける場所にしたいですね。その時に素敵な着物に出会えれば、京都での特別な思い出になりますよね。一点物である事も多い着物の世界。まさに一期一会です。着物ってそういうものかなって思います。  

着物ってとてもハードルが高いと思っていましたが、吉岡さんとお話しするうち、もっと身近なものに感じました。私も着物を着こなす素敵な大人に…なんて新たな目標を立ててみたりして(笑)。取材を通して、新しい着物の魅力を発見できました。吉岡さんを頼って来店されるお客様が多いのも納得です。 (文:上山/写真:山本)

kaonn-日音衣- 吉岡さん

kaonn-日音衣- 代表 吉岡 香里さん 

生まれも育ちも京都。呉服関係にお勤めする中で、自分の好きなものが詰まったお店を作ろうと決意し「kaonn-日音衣-」をオープン。従来の形にこだわらず、今のエッセンスをプラスしファッションとしての着物について、ブログやSNSで日々発信。趣味はおいしいご飯を食べること。おいしいお酒を飲むこと。

kaonn-日音衣- 

京都市中京区東洞院錦小路上ル元竹田町637 2F 
TEL 075-211-2088
定休日 火曜日・水曜日
営業時間 11:00〜19:00
https://www.kimono-kaonn.com/ 

※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。