洋服と同じ感覚で着物選び?! 洋服生地の着物の店「ミミズクヤ」
ありそうでなかった気軽に楽しめる着物
着物は特別な日に着るもの、という感覚やハードルが高いイメージがありませんか?もし洋服を選ぶように着物を選ぶことができたら。そんな気軽に着ることができる洋服生地を使った着物のお店が「ミミズクヤ」。開店した経緯やこだわりをお店の店主である花山さんに伺いました。
大学生の時から将来お店を開くことを考えていた
――洋服生地を使った着物のお店って斬新ですよね。はじめられたきっかけは何だったのでしょう?
何かのお店を開きたいっていう思いは大学生のときからありました。大学時代は京都の喫茶店や雑貨店を巡るのが好きでした。お店で出会ったことがきっかで仲良くなったり、お店に人が集まってコミュニティができたりしている様子を見て素敵だなと思って、私も何かのお店をやりたいと思っていました。
――お店を開くという思いが先にあったのですね。
そうですね。将来お店をやることを念頭に大学卒業後は京都の生地専門店に就職しました。そこで仕入れから販売など商売のことを学びました。その会社では、生地を販売する目的で色々な仕上がり見本を作るのですが、もともと好きだった着物をサンプルとして作りました。それを展示していたら販売品でないのに欲しいというお客さまもいるくらい好評でした。これは商売にできるかなと思ったのがきっかけです。
着物が好きな理由は大学生の頃に出会ったチンドン屋
――着物も好きだったんですね。いつからですか?
これも大学生の時からです。新入生歓迎会の時に楽器を奏でながら着物を着て練り歩いているチンドン屋サークルに出会って「何だこれは!」と衝撃を受けました。それで興味を持ってプロのチンドン屋さんの追っかけをしていたりしました。チンドン屋サークルでも活動していて老人会などから依頼があれば演奏しにいったりもしていました。
チンドン屋…派手な服装で楽器を演奏しながら町中を歩く広告宣伝業者。
――着物への興味はチンドン屋からだったのですか!意外なきっかけです!
チンドン屋さんが身につけている着物に興味を持って、そこから着物を好きになりました。だから生地専門店で仕事をしている時に生地と着物が自分の中で自然と結び付いて作りはじめたのが最初です。
――なるほど。ちなみ洋服生地を着物にすることは難しいのでしょうか?
縫製を工場に依頼しているのですが、洋服生地と着物の反物では作るのに勝手が違うので対応できる工場を探すのは最初苦労しました。
仕入れる生地のポイントは着心地と自分が「かわいい」と思えること
――店内には色々な着物柄がありますが仕入れる時のポイントは何でしょうか?
まず着心地を第一に考えます。生地専門店に勤めていた経験を活かして素材感は大事にします。それをクリアした上で柄を見て着物にした時にかわいいと思えるもの。最近は常連のお客さんのあの人が着たら似合うだろうなとか顔を思い浮かべながら仕入れます。いわゆる着物柄っぽい和柄は避けて、ポップなものやしっとりしたもの、品揃えの色合いを考えたりと全体のバランスを見ますがあくまで自分が「かわいい」と思えることが基準です。
――お店には色々な雑貨も取り扱っていますね。
お店の外から見た時に雑貨屋だと入りやすいかなと。雑貨から着物に興味を持ってくれたら良いと思っています。雑貨は着物に合わせられるものやお店の雰囲気に合うものを仕入れています。
――ちなみに着物を購入するお客さまはどんな人が多いのですか?
はじめは20〜30代の女性が多かったですが、百貨店に出店するようになってその親御さん世代も買ってくれるようになったのも嬉しいです。女性だけでなく男性も増えていますね。お店の2階は男性用を置いています。年2回開催しているオーダー会には最近は全国から注文がくるようになりました。普段は既成サイズを置いていますが、オーダー会では、着方にも合わせてその人に合うサイズに仕立てます。
洋服の小物を合わせたり自由に着物を楽しんでほしい
――着物に興味はあっても本当の着物だとハードルが高く感じますが、洋服生地の着物ならチャレンジできそうです。
いわゆる「お着物」というと柄選びも知識がないと…と思われがちですが、洋服生地なら恐れず直感的にかわいいと思うものを選んでいただけると思います。お値段もお求めやすいですし、洗濯も家でできます。
――洗濯も洋服と同じようにできるのでお手入れもラクですね。ファッション感覚で着物を楽しむことができそうです。
ファッションですからね!帽子やバッグなど洋服の小物を合わせたり自由に着物を楽しんでもらえれば。着物を着て気軽にお出掛けしてほしいです。あとインスタグラムでは着物初心者の方の疑問に答えるよう解説をしている漫画も連載しています。これもできるだけ着物のハードルを低くできればと思ってはじめました。洋服生地の着物がきっかけで着物自体の魅力を多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。
商品はもちろん店内のちょっとしたアイテムにもユニークでかわいいものが溢れています。そこは「人が集まることで楽しいコミュニティとして存在するお店を作りたい」という花山さんの思いが詰まった空間。京町家のほっこりした雰囲気も居心地の良さを感じます。気軽にちょっと覗きに行く感覚で訪れても楽しいですよ。(文:加藤/写真:木村)
ミミズクヤ 店主 花山 菜月さん
京都府出身。大学卒業後、京都の生地小売店に就職。約5年間勤務の後、2014年ミミズクヤをオープン。店名の由来は大学の先輩に「さえずらない感じがミミズクに似ている」と言われたのがきっかけで気に入って、将来お店を開く時の店名にと当初から決めていた。高校時代は吹奏楽部でクラリネットを担当。
ミミズクヤ
京都市下京区新釜座町722-10
TEL 090-5044-4747
定休日 木曜日
営業時間 10:00〜18:00(月曜日のみ13:00 ~ 18:00 )
http://www.mimizukuya.com
※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。