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京の料理人から厚い信頼、食器専門店「みつはし陶舗」

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四条通から高倉通を北に歩いて錦市場を右手に通り過ぎれば、三条通が見えてくる。その手前に窯元や作家の作品を販売するお店「みつはし陶舗」がある。店主の三橋さんにお話を伺いました。

みつはし陶舗のなり立ち

――「みつはし陶舗」はどういったお店ですか?

割烹食器、和食器の専門店です。うつわは料理の名脇役という考えのもと、全国の作家、窯元の作品を揃えております。「作り手」と「使い手」をつなぎ、お食事をより楽しんでいただくお手伝いができればと思っています。

作家、窯元の工房を訪ね、「作り手」の器に対する思いや考え方を聞き、料理屋さんから一般の方といった「使い手」がどのような器を求めておられるかを聞く、それをまた「作り手」に伝えながら作品を作っていきます。

店頭写真

――お店ができたのはいつからですか?

創業は大正10年です。初代の時代は食器を販売しながら、仕出し屋さんへ器をレンタルするという事業をしていたと聞いております。当時は親族などが集まり、家で食事をすることが一般的で、その際は仕出し屋さんに料理をお願いする方も沢山いました。そこで同じ器ばかりだと飽きてしまうのでレンタルをして配膳などのお手伝いもしていたようです。今で言うサブスクですね(笑)

――家庭に出向く出張や大正時代にサブスクとは時代の先取りですね

私も初めて聞いた時は驚きました。祖父が生きていたら当時の話を詳しく聞きたいとよく思います。その後、外食需要が高くなっていき、料理屋が増え、うつわの販売がメインになっていきました。

店舗1階 販売する器が並ぶ
店舗2階 販売する器と絵付け教室として使用

売れるものが変わっていく中で

――そして三橋立季さんが4代目として継がれることに?

大学生になった時は卒業したら継ぐものだとおぼろげに思い過ごしていました。いよいよ就職活動をする時期にリアルに考え出したら少し離れた方がいいと感じ始めました。相性にもよるかと思いますが、家族経営ゆえ、遠慮なくぶつかることから、私も父も少し離れた方がいいとお互い感じていたと思います。

それから7年ほど会社員を務め、役職を持つ立場になっていました。このまま会社員を続けるか悩んでいたのですが、父から戻ってこなければ店を廃業する考えを聞きまして、ちょうど結婚するタイミングでもあり、人生を考える節目だったので、会社を辞めて2012年に家業を継ぐことにしました。

――大きな決断をされたのですね。継がれてみていかがですか?

今は、うつわを通して食事の時間を豊かにできるこの仕事にやりがいを感じています。しかし、家業に入った当初は苦労しました。全く知識が無いだけでなく、父も教えるタイプの人ではなかったので見て覚えたというか、料理屋さんに一緒に営業に行ったのも 1・2 回ほどで、後は一人で行ってこいといった感じでした。(笑)

――え?それはなかなか大変ですね。他にもいろいろ聞かなきゃいけないことがありそうな…

いやー、結構悩みました。一人で行くわけですが、何を持っていけばいいか父に聞いてみるものの、「そんなのいろいろあるやろ」みたいな返答だったので、とりあえず何か適当に持って行くわけですが、当然料理人のお客さんに怒られるわけです。一番キツかったのは「このままやったら先代がやってきた店潰れるで」と言われた時でした。

――やっぱりそうなりますよね。

そうですね、相当へこみました。そこで商品を一から見直すことにしました。仕入れ先の窯元を回り、職人さんが作られているところを見学しながら器のことを学びました。そこで知識をつけてから新しい窯元や作家さんを訪ねていく訳です。何も知らない人が訪ねても相手にしてくれませんから(笑)また、本を読んだり、実際に食べに行ってどのような器に料理が盛られているかも勉強しました。

1番ありがたかったのは顧客の料理屋さんに聞けることでしたね。営業に行った時などに質問させてもらいました。これは先代が家業を守り、人間関係を築き上げてきたからできることですので大変感謝しています。そうして勉強を重ね、自分の感性も取り入れながら器選びをしていき、少しずつ売れるようになっていきました。

4代目としてのスタイル

――考えに考えた末の努力が実ってよかったですね。

そうですね、今思えば父もそのようにしてきたかもしれません。人に聞くのではなく自分で考えろということを伝えたかったのだと思います。昔に比べてより個性を求められ、料理のスタイルも型にはまらないもが増えています。器も同様にその時代に合わせて変化していかなくてはいけません。伝統的なものと新しいもの両方をご紹介していければと思っています。

――なるほど、時代に合わせた器選びですか。今やホームページやSNSもされていますね。

当店のことをより多くの方に知っていただくため、ネットやSNSは積極的に活用しています。遠方の方からのお問い合わせが増えて、新たな顧客開拓にもつながっていますし、京都に来られた際に、当店も目的地の1つに入れてくださるお客様のお話を聞くと嬉しいです。

――新しい販路となってよかったですね。これからも新しい取り組みをされるのでしょうか?

最近新たに始めたのが絵付け体験です。様々な食器を見ながら絵付けをしていただけます。お子様や若年層の方など今まで少なかった年代のお客様も増えており、この体験が少しでも器に興味を持ってもらえるきっかけになればと思っています。

絵付け道具写真
絵付けの様子

――最後になりますが、今後のことをお聞かせください。

今改めて日本の伝統工芸品が見直されています。より多くの「使い手」に和食器の魅力を伝えて「作り手」と共に微力ながら伝統工芸を守っていくお手伝いを続けていければと思っています。見るだけでも大歓迎です。お気軽にお立ち寄り下さい。

今必要なことは何かを考え続ける重要性を、お話を聞きながら感じました。器をひとつ変えることで、普段の食事がもっと楽しいものに変化する、そんな食事の楽しみ方に改めて気付きました。(文/写真:山本)

みつはし陶舗 店主 三橋 立季さん  

学生時代のクラブはバスケット部。自宅にバスケットゴールを設置したことから、2人の小学生のお子さんもバスケットに熱中。それを応援する心優しきパパです。

みつはし陶舗

京都市中京区高倉通三条南入
TEL 075-221-1921
定休日 水
営業時間 月・火・木・金9:00〜18:00、土日祝10:00〜17:00
https://mitsuhashitoho.jp

※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。