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水彩画教室iiiro

絵を描く目線で毎日を素敵に「水彩画教室 iiiro」

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三条通り高倉角の『Duce mix ビルヂング』で開講している水彩画教室 iiiro(イイイロ)。教室がある4階の窓からは京都文化博物館のレンガ造りや屋根がすぐ近くに見えて、とても素敵なロケーションです。その水彩画教室主宰の柘植香里さんは、水彩を施したアクセサリーや雑貨を制作する作家でもあります。幼少期からの絵との関わりや作家としてのお話を伺いました。

水彩画教室iiiro

幼い頃から水彩画とともに

ーー教室はいつから開講されていますか?教室名の由来を教えてください。

この教室は2021年から開講しています。もともとアルバイト先の絵画教室で、生徒さんが描いた絵を見たときのよく言う私の口癖が「これ、いい色ですね」だったのですが、わかりやすくてそれを教室名にしました。

実は亡くなった父方の祖母も水彩画教室をしていたんですよ。幼稚園ぐらいのころから私もそこで描いていました。

水彩画教室iiiro 三条通り側看板
Duce mix ビルヂング三条通入口のかわいい看板

ーーそんなに幼い頃から水彩画に親しまれていたんですね。おばあさまから技術など教わったとか?

家族だったからかほったらかしでしたね。近所の子供達が教室に通ってきていたので、同じようにみんなで絵を描いていました。その頃のモチーフはお花や野菜、ぬいぐるみなど身近なものを描くこともあれば、「夢の国」のようなお題が与えられて想像で描く日も。教室のみんなはそういう課題の日は、自由に描いたりして楽しそうだったのですが、写生の日はつまらないのか、何だかがっかりした空気でしたね。でも私、むしろ写生が大好きだったんです!野菜や果物とかじっくりじっくり見て描くことが幼い頃からとても好きで。
一人っ子で一人の時間が長かったこともあって絵を描いて過ごすことが多かったんです。例えば休日の朝両親が起きてくるまでの間、家に飾ってある花瓶の花を筆ペンで描いたり、寝ている母を描くことも(笑)。絵を描くことは自然なことでしたね。

水彩画教室iiiro 主宰の柘植さん

ーー水彩画教室 iiiroはどんな内容ですか。

1コマ3時間で定員4名までの少人数の講座です。描きたい内容は自由。デッサンや静物写生・風景画など描きたい絵に合わせて、個別に指導します。完成までの期限など特に決めないので、ご自分のペースで描いていただけます。絵の具や筆、パレットなど必要なものは教室で用意していますし、丁寧に「基本のき」から指導しますので、初心者でも大丈夫。もちろん経験者も楽しんでいただけると思います。今は小学5年生から70代くらいの方まで来られていて、わいわいお話しながら描いていただいています。 

水彩画教室iiiroのパレット
教室で用意されているパレット。指導しやすいように工夫されている
水彩画教室iiiro 受講生の作品
生徒さんはおのおの描きたいものを持参して作品作りを
仏像の写真を参考に制作する受講生のOさん
水彩画教室iiiro 受講生Kさん作品
旅行の思い出を制作中の受講生のKさん
水彩画教室iiiro 主宰柘植さん
個別に用意されたシートに描きながら、筆にどのくらい絵の具と水を含めばいいかなど的確にアドバイス

創作の根底にある変わらないもの

ーー大学では日本画を専攻されていたとか?

竹内栖鳳が好きなこともあって。『日本画水墨模写』に進もうと決めました。
そこでは自分で描きたいものを見つけて日々模写するんですが、特に花鳥画が好きだったので、中国絵画の古い作品を選んでいました。

ーー大学卒業後、すぐに水彩画教室の講師を始められたのですか?

いえいえ、卒業してから4年ほどは和食器を扱う会社で、製品を開発する仕事をしていました。
仕事以外の時間で、大学の仲間と一緒に手作りのアクセサリーを作って、手づくり市などのハンドメイドイベントに出展する活動を始めたのですが、作ることってとても楽しくて!
それがきっかけで作家として自分がどこまでやっていけるか試してみたくなり、会社を退職することに。その後偶然見つけたこの場所をアトリエとして構え、作家活動を始めました。

柘植さん水彩画作品
柘植さんの作品(画像:柘植さん提供)
turrのイヤリング・ピアス
柘植さん作の水彩アクセサリー(画像:柘植さん提供)

ーーTürr(ツルル)という作家名で活動されていますが、その活動について聞かせてください。

水彩画作家として絵ももちろん販売しているのですが、アクリル樹脂に水彩でひとつひとつ模様を描いてアクセサリーも作っています。透明なものに描くと、裏側に描いた模様が透けて見えるので奥行きや立体感を出すことができて、紙に描くのとはまた違った楽しさがあります。

Türr(ツルル)という名前は大学時代のあだ名が「つるちゃん」から。イベントなど出展申込で屋号が必要になったとき、それをもじって「ツルル」に。なんとなく決めちゃったんですが(笑)。

作家活動当初はオーガンジーに刺繍をしたアクセサリーを作っていましたが、あるとき私が一番得意な水彩をアクセサリーにしようと切り替えました。今思うと、刺繍の作品の色選びは、水彩画の透明感や色合いの影響をとても受けていたように思いますね。作るものは変わっても、私の中の基本は変わらないのかも。   

水彩画を通して「見ること、考えること」の楽しさを伝えたい

Turrのロゴ
柘植さんのアクセサリーブランド Türrのロゴ

ーー柘植さんの作品は、見ていると優しい気持ちになります。

ありがとうございます。私の作品は「誰でも飲めるお茶のようなもの」と思っていて。水ほど無味で無色透明でもなく、コーヒーやお酒ほど強烈でもない、お茶のような作品だと思っています。そういうものを作るのが得意だから。
実はパンチがあるものや強いメッセージ性が、自分から出てこないのが悩みだった時期があったんですけど、これがわたしの個性と気づき自分自身を受け入れたとたんに、ラクになりました。

ーー絵を描くときに心がけていることはありますか?

教室でも絵を描くことは見ること、考えることだと生徒さんにはお伝えしています。描きたいものがなぜそういう作りになっているのか、見えていないところを想像してみること、またこれを絵にするにはどう描くだろうか、など絵を描く上では大切な目線だと思っています。普段からそういう目線を持つと、何気ない日常の景色も素敵で楽しいかもしれませんね。

水彩画のアルファベット
教室に飾られている柘植さんの作品

レッスン中にもおじゃまし、見学させていただきました。柘植さんは生徒さんの質問にもひとつひとつ丁寧に答えておられ、そうなる理由や道筋もしっかり説明。聞いていて納得しきりで、私も通ってやってみたくなりました!生徒のみなさんも、楽しくおしゃべりしながらも真剣に取り組まれているのが印象的でした。
気になる方はお試し体験も受付されていますので、詳しくはホームページをチェックしてみてくださいね。
(文・写真:上山)

柘植さん

水彩画教室 iiiro(イイイロ) 主宰 柘植 香里さん

1986年京都市生まれ。幼い頃から父方の祖母の水彩画教室で透明水彩画を習う。会社勤務・大学非常勤講師・水彩画教室講師を経て、2021年春、京都三条高倉のアトリエにて教室を開講。
水彩アクセサリーTürrの制作や、イベント出展など作家としても活動中。

水彩画教室 iiiro(イイイロ)

京都市中京区三条通高倉東入桝屋町53-1 Duce mix ビルヂング4F
営業日 毎週水・木・金(午後の部14:00〜17:00)/隔週土・日(午前の部9:30〜12:30/午後の部14:00〜17:00)
定休日 月・火 第5週目
営業時間 9:00〜17:30
※イベント出展などの都合により変動することがあります。

https://suisaiga-iiiro.wixsite.com/iiiro

※アトリエでのアクセサリー作品の販売はしていません。アクセサリー作品をお求めの際は、出展イベントや委託販売展をご利用ください。
※出展イベントや委託展などの情報は作家HP(https://turr-design.wixsite.com/turr)まで

※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。