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食べ物をいただく時間と空間を大切に スパイスカレー「カマル」

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烏丸三条通から京都文化博物館に向かう途中の、黄色い象の看板に見覚えはありませんか?中からカレーのいい香りが漂う人気店。そのスパイスカレー「カマル」のオーナー、大島友恵さんにお話をうかがいました。

東京原宿、伝説のカレー店 GHEE の味を引き継ぐ

――スパイスカレー「カマル」ができたのはいつからですか?

2012年です。原宿の「GHEE(ギー)」の味を引き継ぐ形で始まりました。「GHEE」はまだスパイスカレーが浸透していなかった 80 年代に原宿で出店し、場所柄著名⼈や業界⼈がよく来店されていました。働いていたスタッフの中には、 役者の卵や歌手、ゆくゆく有名⼈になるような業界関係者もいたようです。 また「GHEE」のシェフだった⾚出川さんという⽅は有名となり、⾷通の中で多くのファンがいるほどです。    

三条通沿いにあらわれる印象的な“黄色い象”

――「GHEE」の味を引き継ぐということは、今はないということでしょうか?

残念ながら2005年に閉店することになりました。でも、当時「GHEE」でアルバイトをしていて、後に「カマル」を プロデュースする加治(カマル開店当時はアパレル関係の仕事に従事)が、どうしても「GHEE」の味を再現し、多くの⼈たちに⾷べて欲しいという熱意からこのお店を始め、縁があって京都のこの場所でオープンすることになりました。

――その時は⼤島さんが調理担当としてカマルへ?

店⻑として⼊ったのですが、まったくカレーのことを知らなくて。「GHEE」の閉店後、さまざまな店を渡り歩いていた、⾚出川さんに加治がお声がけし、私と数名が⾚出川さんから直接レシピを教わりました。そして知れば知るほど 「GHEE」の味、スパイスカレーの魅⼒にハマっていきました。

――オープニングスタッフということで⾊々とやることが多く⼤変だったのでは?

そうですね、全6種のカレーの仕込みは時間がかかるので、やることは毎⽇たくさんありました。ですが、性格的に新しいことをするのが好きだし、若さもあったのか苦ではなかったです。それにこの仕事が好きなので。

⼤学在学中から⾃分の店を持つことに憧れ

――⼤島さんがカマルを経営するきっかけとなったのは何だったのですか?

独⽴したいというのは最初から伝えていたので、カマルを出て店を作るつもりでいたのですが、“そういうことであればここでオーナーになれば”とこの店を譲り受けました。 もともと⾃分のお店が持ちたくて⼤学ではカフェサークルを作って活動したり、在学中でも経営できるならすぐにでもやりたい気持ちでいっぱいでした。

――もともと経営志向だったのですね。

そうですね、きっかけはカフェでバイトをしていた時に、自分が淹れたカプチーノを飲んだお客様がとても喜んでくださったこと。感動して飲食の仕事が大好きになりました。仕入れやシフト管理、メニュー提案など様々なことを任せてもらえるようになり、自分でお店をしたい気持ちが強くなりました。もっと他のカフェでも働いてみたくなり、探していたらカフェのリニューアルオープンの募集を見つけて面接に。行ってみたら居酒屋にリニューアルするけどいいかな?って。(笑)

――え!?思っていたのと違いますが、⼾惑いなどなかったのですか?

違う業態を経験するのもいいかなと。接客が好きだったのでこだわりがなかったのかも。実はその居酒屋「まそほ」があった場所が「カマル」なんですよ。「カマル」のようにこうやってカウンターの向こうにお客さんがいて、⾷べている姿が⾒られる店が好きで、そんなお店を持つことに憧れていたのですよね。

――では⼤学を出てすぐ「カマル」で働くことになったのですか?

いえいえ。大学卒業後、関東の外食企業で働き、本部と店舗で様々な経験をしました。仕事はやりがいも感じていたのですが、京都に帰ってくることに。そのことを、学生の時にバイトしていた「まそほ」の店長(その時は幹部に出世されていましたが)に報告したら会社に誘っていただいて。それからいくつかの店舗経験を経て今に至ります。

店内は1階カウンターと奥にテーブル席 2階席も。

⾷べものをいただく時間と空間ごと思い出になるように

――「カマル」のおすすめや種類を教えてください。

レギュラーメニューで「GHEE」を継承したカレー6 種(バターチキンカレー、ビーフカレー、ほうれん草カレー、なすのカレー、野菜のカレー、キーマチキンカレー)を提供しています。また、2 種のカレーを選んでいただける「コンビネーション」も提供しているのですが、6 種どんな組み合わせでもマッチしますよ。⼈気のメニューはバターチキンカレー とビーフカレーです。個⼈的には野菜のカレーが好きですが。

ビーフカレーと野菜カレーの「コンビネーション」

――野菜のカレーは素材のやさしい味がしますね。

そうですね、素材の味を感じるように⽢めでさらりとしたルーに仕上げています。実はカレー6 種は全て作り⽅を変えて作っていますのでその違いも楽しんでいただけたら嬉しいです。

――ビーフカレーはさっぱりした中に⾟さが病みつきになりそうです!⼤変おいしくいただきました。ところで先ほどお客さんの⾷べている姿が⾒られる店が好きとおっしゃいましたが

そうなんですよ、お店を始めて 10 年以上になりますが、料理を提供し、それを⾷べているお客さんの姿を⾒ることがやっぱり好きで、時間や空間を提供し、そこで満⾜してもらえることが好きなのだなって実感しています。

――なるほど。シーンも含め思い出に残るようで素敵ですね。

そうですね。私が⼩さかった頃から親がよく外⾷に連れていってくれたからかもしれません。そういったことに興味が出てきて、⾃分が提供できる側になってみたいと思ったのかな。

――最後になりますがこだわりや思いなどお聞かせくだい。

これからも変わらず「GHEE」の味は提供しつつ、⽜すじのトマトクリームカレーや白いカレーといった「カマル」オリジナルもぜひ⾊々味わってください。空間も含め満⾜いただけたら嬉しいです。 また「カマル」を通じてお客さんや働いてくれていた仲間など⼈との縁が、どんどん広がってくれたら楽しいですね。

イベント出店やメディアの取材などを通じて縁が広がっているとのこと。出店当初は苦労がたくさんあったと思うのですが、スパイスカレーとの出会いや、⾷を通じて時間と空間を提供する思いを優しくお話しされる⼤島さんが印象的でした。(文/写真:山本)

スパイスカレー カマル オーナー 大島 友恵さん  

最近は子育てでできていませんが写真部だったので写真を撮ること。また映画鑑賞、カフェやパン屋さんめぐりが好きです。

カマル

京都市中京区菱屋町32-1
TEL 075-211-3949
定休日 なし
営業時間 月〜金ランチ11:30〜15:00(L.O.14:30)、ディナー17:00〜22:00(L.O.21:30)、土日祝11:30〜22:00(L.O.21:30)、テイクアウトL.O.21:30(電話予約21:00)
http://www.kamal.asia/

※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。