1. HOME
  2. 食べる
  3. 鉄板を通して和を広げる広島焼の店「叶夢(カム)」
食べる

鉄板を通して和を広げる広島焼の店「叶夢(カム)」

食べる

メインストリートとして栄えた旧五条通である松原通と、烏丸通の交差点近くに、この辺では珍しい広島のお好み焼をメインに出すお店を発見。「広島鉄板 叶夢(カム)」の店主小島さんに話をお聞きしました。

調理をする小島さん

素材とコミュニケーションの場を大切にしている

――この辺りを通るとお好み焼のいい香りがして空腹時には刺激を受けます。この辺りで広島焼をメインに出すお店は珍しいですね。

鉄板で焼く香りは吸い寄せられそうになりますよね。確かに広島焼をメニューの一つとして扱っているお店はありますがメインとしているところは少ないかもしれません。  

――お店を始めたきっかけは何だったのですか?

広島出身の私の義父から、広島焼の店をやってみないかと提案を受けたことに始まります。義父は元々お好み焼き屋をやっていました。   

――そうだったんですね。このお店を始められたのはいつ頃からですか?

このお店自体は2010年に始めました。元々四条大橋を渡ってすぐ、祇園の縄手通(大和大路通)にお店があったのですが、もう少しオフィス街で展開したかったので、2012年の6月29日にこの場所に移転しました。  

__結構すぐの移転だったんですね。元々は祇園にあったんですね。

私自身が祇園のバーでバーテンをやっていたことがあり、それが飲食店のキャリアのスタートになります。そこはドリンクだけでなく料理も出していたので、飲食店に興味をもつきっかけにもなりました。

__だから祇園で飲食店ということですね。では「叶夢」の広島焼の特徴について教えてください。

はい。まずソースですが、広島の「毛利醸造」のカープソースを使用しています。酸味が強く、マイルドな味わいで素材の味を邪魔しないので、広島焼きにとても適しています。具のイカ天やそばなどは、広島から取り寄せています。

広島の「毛利醸造」のカープソース

__素材は全て広島から取り寄せているんですか? 

いえいえ、鮮度の気になる野菜などは、京都の決まった農家さんや市場で買い付けています。お通しの野菜もできるだけ生産者の名前がわかるものを使っています。

__お客さんも安心ですね。特に気をつけているポイントなどありますか?

そうですね、焼く時間をその日のコンディションで変えています。特にキャベツは水分量が多く、日によって量が違うので毎回焼く時に時間などを微妙に調整しています。水分量の調整が広島焼の出来の命なので、そこはとても気を使っています。

__おお、まさに職人技。毎日違うということは毎回スタッフとミーティングで話されるとか?

いえいえ、今いるメンバーはもう熟練で慣れているので話しあわずともばっちりです。

目の前で広島焼が鉄板で調理されていく様子が楽しめる。薄い生地を焼いてからキャベツなどの素材を順番に乗せていく
生地の次にそばを焼いてスタンバイ
ソースと青のりが加わり出来上がり

――他にもメニューの種類が豊富ですね。 

外国人のお客さんも来られたりするのでステーキもご用意しています。特に最近は欧米の方が多く来られますね。 

――店内に入ってすぐカウンターの前にとても大きな鉄板がありますが、ここで広島焼やステーキなど焼くのを見ながら出来上がりを待つ時間も楽しめますね。

ありがとうございます。まるでライブパフォーマンスのように感じていただけたらと思っております。この鉄板を挟んでお客さんとコミュニケーションをとる場所を作りたかった。なので鉄板はカウンター全体を覆うような幅にしちゃいました(笑)。 

豊富なメニュー。QRコードからスマホで注文
カウンター一面鉄板に

――ところで小島さんはとても声がハキハキされていて、きっと来られたお客さんもその時間を楽しんで帰っていかれるんだろうなと思うのですが、やはり飲食店の経験からですか?

それが、最初は全然喋れなかったんですよ。祇園でやっていたバーテン時代にお客さんから鍛えていただきました。あの辺りのバーや飲み屋の人は話上手な人が多いです。

広島カープのグッズがたくさん

広島愛と自転車愛

――先ほどから気になっていたのですが、広島カープのグッズがたくさんですね。

あ、あの棚のやつですね。お客さんから頂いたものです。「京都広島県人会」というのがあってうちも所属しているのですがうちも定期的に使っていただいてて、その時にいただいたものです。広島出身の人はもちろん、京都出身の広島にゆかりのある方も所属ができます。県人会は歴史があるんですよ。

――そうすると結構な人数が来られるんではないですか? 

そうですね、うちの店は店構えは小さそうですが、実は結構奥行きがあるんですよ。さらに2階もあるので宴会などでも使っていただけます。京都で典型的な『ウナギの寝所』ですね。 

ーー確かに奥に行くと小上がりになっていて広い店内ですね。そして店全体から広島愛をとても感じます。 

従業員は3名なのですが、他にバイトを含めると、広島出身の者が多いですね。県人会の方もそうですが和気藹々としていてとても良いつながりをもっているなと感じています。 

店舗の外観
カウンターの奥には小上がりの座敷が広がる

ーーそういうコミュニティーがあると心強くていいですね。コミュニティーといえば、小島さんは本格的に自転車でロードレースをされているとうかがいました。そういった集まりもあるのですか? 

そうですね、よくいく練習場で同じ競技をやっている人と仲良くなるのですが、その中に偶然広島出身の日本チャンピオンになったこともある大学生がいました。気があって、今では私の子供たちともよく走ったりしていますよ。

ーー同じ取り組みの中でできるつながりっていいですね。そんな小島さんが自転車に興味を持った経緯は何だったのですか?

きっかけは僕の先輩です。元々トライアスロンの代表選手をやっていて、その方の影響が結構大きいです。先輩の練習によく同行させてもらっていたのですが、どんどんその魅力に惹かれるようになって今も続けています。今でも週5日は自転車に乗っていますよ。

ロードバイク用の自転車

――え、週5日ですか?もう自転車無しではいれないですね。最後になりますが、小島さんの今後の展望などお聞かせください。 

そうですね、毎日お客さんに良いものを提供することを心がけつつ、今後考えていることは鉄板のあるカウンターだけのお店というのもやってみたいと思ってます。常にお客さんとコミュニケーションがとれる場ができると非常に魅力的ですね。 

お話を聞きながら小島さんのはっきりとした声と笑顔が印象的でした。カウンターいっぱいに広がる鉄板を挟みながら、カンカンカン!と小気味いいコテの音をききながら、小島さんとの会話を楽しみ、広島焼きが出来上がるの時間をぜひ堪能しにいってみてください。(文/写真山本)

広島鉄板 叶夢店主 小島真人さん

京都市出身。祇園でバーテン、東京で大手飲食店のキャリアを経て2010年に「広島鉄板 叶夢」を設立。競技自転車で親子でロードレース。自身は仕事前などに毎週週5回は走っている。

広島鉄板 叶夢

075-343-3555
京都市下京区烏丸松原西入玉津島町315  
定休日 日曜日
営業時間
11:30〜14:30(ラストオーダー14:00)、
17:30〜23:00(ラストオーダー22:00)

※掲載内容は取材時のものです。最新情報は念のため店舗公式の情報をご覧ください。